海賊の物語を洋上で読む

☆和田竜「村上海賊の娘」文庫(新潮社)表紙
モルディブ洋上を航海中に読んだ和田竜の「村上海賊の娘」文庫で全4巻。
洋上で読む海賊の物語はなかなかオツであった。
手に汗で合戦シーンを読んだけど、中でも潮流を味方につけて、村上側が敵の眞鍋の安宅(船)を押し返すシーンが好きだ。
これぞ海戦の醍醐味。
文中には各所に古文書からの引用も多用されて興味深い。
何より、主要人物のほとんどが実在した人々だから興奮するじゃないか。
織田信長の天下統一の前夜、顕如を代表とする一向宗門徒との戦いを描いた物語。
時代劇、多くの名作に女の出番は少ない。
若き景(きょう)姫の大活躍は女性読者として嬉しい。
政治上の忖度や権謀術数によるものでなく、人としての情でのみ動く、だからこそのダイナミズムがそこにある。
とてもアホな選択、けれどそれは尋常な信念では成し得ないこと。
愚かだから、輝いている。
七五三五兵衛(しめのひょうえ)のキャラが異彩を放ち、泉州侍の心意気が麗しい。
村上海賊の衆、雑賀党(さいかとう)の鈴木孫市…各人物がよく描かれて、大人物から姑息なヤツまで、読む者を楽しませてくれる。
この記事へのコメント